金融庁長官のスピーチと「徳の経済」②

そして・・・またいつもの我田引水。
我々は現在の「欲の経済」のほかに「徳の経済」を持たなければならないのではないだろうか。
「欲の経済」は無制御な資本主義が行き着く先であり、お金を出した人が偉く、その対象を支配する、1次元(⇔)の世界だ。
「徳の経済」はお金を出した人がお金を出した対象ではなく、それに連なる第三者を支援し、そのことで“尊敬”を得られる構造の3次元(△)の社会だ。
自分はそれを「アドコマース」と呼び、現在の(個人データ保護との矛盾をはらみつつも)One To Oneマーケティングの方向に日に日に高度化されつつある広告宣伝・データベースマーケティングの援用で実現できるのではないか、と提唱している。
また、この「徳の経済圏」での対価の交換手段(徳の証明トークン「TOKU」)を提言している。

とはいえ、この考えは何も特別なものではない。
実際、この「アドコマース」の概念と「スラマット」「TOKU」という自身のビジネスプランを語りに行った先では、
「独自経済圏を作るという構想・取り組みは多い(成功例は少ない)」
「『評価経済圏』という概念もよくあるし、その取り組みもある(成功例は少ない)」
「人が集うプラットフォームを設け、得られたデータを活用、というモデルは王道だが、それを実現するためには“人が集うプラットフォーム”が必要だ(ニワトリ・卵だがまずは形にしてくれ)」
という声に終始したりする。

確かに、独自経済圏を作り、そこで流通する独自貨幣がある、というアイディアは古くからあるし実装されてきた。
『モモ』『はてしない物語』のミヒャエル・エンデが現在の貨幣制度の問題を説き、そういった問題意識に呼応して、例えば(クーポン券のような原始的なものから地域で法定通貨に準ずる扱いを受けているようなものまで)地域通貨的なものがデジタル化以前から誕生している。

また、「評価経済」的なビジネスアイディアも周りでよく見聞きする。例えば、ウェブ上で「いいね」した飲食店からクーポンをもらう、といったビジネスモデルは少なくない。それらは地域通貨として流通している場合もある。

しかし、あえていえば、そんな「“いいね”経済圏」と「徳の経済圏」の構想が大きく違うところは、前者が無邪気な第三者への評価を礎にするのに対し、後者は(直接的にはメリットがないのに)第三者を支援するために“実際に”金を出した人を“尊ぶ”ことをスキーム化し、それを(本来「欲の経済」の範疇にある)「広告宣伝」と結びつけ間接的なメリットを与える、という取り組みだ。
この概念が社会に広がり、具現化されたツール(を皆が利用すること)が実現すれば、社会全体の連携の幅を広げることができるかもしれない
(なお、この記事が発端で書いているが、「TOKU」システムは必ずしもブロックチェーンにこだわらなくてもいいと思う)
・・・以上、我田引水、終わり(笑)

ところで、自分は(「徳の経済」が実現しようがしまいが)、今後、世界縦断的に様々な「経済圏」が生成され、法定通貨以外に様々なデジタル「貨幣」が誕生するだろうと思っている。法定通貨と換金ができる通貨も、通貨への換金は直接謳わないポイント的なもの(≒電子マネー)もあるだろう。

ちなみに、今般の法改正で、日本では資金決済において「上限なし」「100万円まで」「少額」で業者選別を受け、それぞれの業規制がかかることになった。

●参考:資金決済法の改正について ~資金移動業の3類型及び収納代行の一定の線引き~(Global・Venture・AI弁護士法人GVA法律事務所 2020.07.27)
https://gvalaw.jp/10408

これによって、例えば「割り勘アプリ」のような個人間の資金移動も規制対象になってくるという。また、暗号資産(仮想通貨)と法定通貨の交換は金融当局に認められた仮想通貨交換業者にしか認められない。

前述の「銀行、現金、規制当局という3つの古き良き制度は近い将来、大きな変革を経験しなければならない」という氷見野長官の言葉に反し、金融当局は「規制」を止められないようだ。
このブログでも繰り返し書いてきたように、今後、「金融ビジネス」と「情報(ICT)ビジネス」、「e-コマース」の垣根を越えて融合が広がっていくと思う。その中で、規制先行の姿勢では大きな社会変革の芽が摘まれてしまわないか心配だ。
「信頼」の構成概要がドラスティックに変化する社会の大変革期において、前例踏襲を礎に置く管理システムにのみ立脚すると、いろいろと矛盾が出てしまいかねない。

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