Facebookの仮想通貨「Libra」

https://japan.cnet.com/article/35138666/
→CNET Japan 2019/6/18 19-40「Facebook、仮想通貨「Libra」への参画を発表–2020年にサービス提供へ」

長らくベールに閉ざされていた Facebookの仮想通貨計画が公表された。
(すでに「“仮想通貨”ではなく“暗号資産”と呼べ」と決まっているのに、やはり“暗号資産”では認知が低すぎて一般的には受け入れられていない様子。)

「Libra」と言って、Facebookとは別に立ち上げる非営利団体のLibra協会が立ち上げ、運営する。Libraは海外送金や各種支払いに利用される。
Libraを使った金融サービスは、Facebookの規制対象子会社の「Calibra」が担う(2020年からサービスイン)。

協会のパートナーはFacebook以外に、VisaやMastercard、PayPal、Stripe、ebay、lyft、Uber、Spotify、vodafone、Coinbaseといったグローバル企業や、非営利組織、学術機関など。他の記事によると日本をはじめ複数の国の企業の参加を検討している様子。

Libraは“裏付けとなる資産(リザーブ資産)” =複数の通貨や短期国債、で(一定の?)価値が担保される、そうだ。ブロックチェーンの衆人環視と相まって、安全安心。

CalibraはFacebookの代わりにLibraネットワークを活用したサービスの開発・運営を実施する。Calibraが提供する金融サービスは、今見えているところでは、Messenger、WhatsApp、専用アプリで利用できるデジタルウォレットの提供。
このウォレットでは、“テキストメッセージを送るのと同じ感覚”でLibraを貯めたり送金したりすることが可能、とあり、ボタン一つでの代金支払いや、スキャンで“ピッ”のらくらく商品購入ができたり、公共交通機関での利用等々、様々なキャッシュレス決済サービスを展開する予定。

さらに、ユーザーの資金(と情報)は高度なセキュリティーで厳重に保管される上、サポート体制や悪意ユーザーによる損害への補償もある。

そういうわけで、非常に便利そうだ。ひじょ~~~に、便利そう!

さて、気になるCalibraでの個人データの取り扱いだが、以下のように説明されてる。
・ソーシャルデータと金融データは適切に分離する
・決済データ(アカウント情報や金融情報)はFacebookや関連アプリのターゲティング広告には使用しない
・ただし、「生命の安全が脅かされる場合」「法律に基づく場合」「Calibraユーザーに基本的な機能を提供する場合」に限り利用する

Facebookは今、個人データ利用に関して世界中でいじめられているし、特にターゲティング広告はみんな“薄気味悪い”と思っているので、「それには絶対利用しません!」というのは当然だろう。
特にFacebookの場合は、投稿内容やいいね!履歴や友人関係といったさまざまな情報に紐づけられる懸念もあったわけで、生理的に嫌がる人も多いだろう。
とはいえ、中には「俺の個人データは勝手に使ってもらって構わないから。逆にどんなサービスを提供してもらえるの?」という猛者(?)も一定数いるわけで。

そういう意味で、“「Calibraユーザーに基本的な機能を提供する場合」に限り利用する”というのがミソで、これがどういうサービスで、どう発展するのか、というのが興味深いところだ。
現在、LINEや通信各社など、様々な企業が手掛けるキャッシュレス決済サービスも、①ビッグデータを分析した“層”としてのマーケティングデータの活用、の方向は間違いなくある。②個人データを個人の『信用スコア』に利用する動き、も、例えばLINEやソフトバンク(⇔みずほ銀行)にはある。また、これまでの流れだと、③ハッシュ化した情報をもとにDMPを活用して“紐づけ”、企業のマーケティング(MAなど)に利用する、といった活用法がメイン想定であったと思われるわけで。

GDPRおよびe-プライバシー規則など「データ所有権を個人に戻せ!」といった流れの下、個人的に③の流れはどうなっていくのだろう? と思っている。当初の一定の許諾によりマーケティングにデータ利用したものの、「やっぱり、私の個人データ、返して!」となった場合に、どこまでのことができ、どこまで対応しなければならないのか?
また、②については、中国だから「ゴマ信用」のような、おっとろしい(!?)代物ができたわけだが、この動きがこのまま人権意識が高い国々(とくにヨーロッパ)で実現されるものなのか? 日本はもともと“従順なヒツジ、怒れるヤギ”の国だったわけでいずれにせよ一方向に流れが行けば、「『信用スコア』やむなし」の方向に向かう可能性(リスク?)が高いと、個人的には思っていたが。

さて、余談だが、経済活動にかかわる「個人」ばかり“徳”を求められる『信用スコア』だが、例えば、企業のある種の支援活動にも“徳”を認める動きが有ってもいいのではないだろうか?
実は、現在、自分が動いているある件は、そこにソリューションを与えるもの。
別に、『信用スコア』で“上から目線”の評価をするのでなく、「あの企業、ありがたいねえ」と感謝する、というイメージだろうか。
あまり絵空事を語る風にとらえられたくないので、本件はここまで。

ところで、このLibraを“金融商品”として考えた場合、自分などは投資信託畑なので、通貨バスケット型MMF(MRF)=短期公社債投信のイメージがある。
“リザーブ資産”がどこまで厳密に運用されるものなのか、少しだけ興味がある。
どういうタイミングで設定解約(増資減資?)されるのか、そもそも通貨発行額あるいは流通額の100%が運用に回るのか、とか。
日々(時々)の決済データを集約して設定解約(というか、運用金額の増減)するのは、ブロックチェーンだからやりやすい気はする。
変な話、いきなり世界一の決済可能な流通量をもつ仮想通貨(暗号資産)が現れるわけで、このLibraの需給によって、リアルマーケット(債券市場、為替市場)にも影響が出ることになるのかもしれない。

そう考えると、伝統的な金融ビジネスという“古い世界”と、SNSやそのデータ活用ビジネス、キャッシュレス決済という“新しい世界”は、まったくつながっているんだなあ、と思う。
そして、既存の銀行や証券といった“古い枠組み”でしかものを考えられない人は、時代に置いて行かれるのでは、という懸念も。
などと、これは、やや我田引水かもしれない。

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