NFTをきっかけに、これまでと未来を考える

最近、このブログ記事で「NFT」(Non Fungible Token)絡みの内容が続いている。書いてきたとおり、自分はNFTを詳しく知っているわけではないのに、なぜそこに興味が向かっているのか。
それは、「なるほど、あの頃取り組んでいたことは、今ならNFTという形になりうるんだ」という実感があるからだ。

今から約3年前に、知り合いからとあるICO(Initial Coin Offering)プロジェクトへの声掛けがあり、約半年間「100%“手弁当”」で参加した。
参加期間中、自分は積極的にアイディア出しをして心に期するものもあった。なので、プロジェクトから外された際は大いにわだかまった。
自分が外れた後もプロジェクトは継続したが、結局、失敗に終わったと漏れ伝え聞いている。
(少なからずトラブルもあったと聞く)

書ける範囲でいうと、そのICOプロジェクトが目指したのは「アーティストやクリエイター、コンテンツホルダーが提供する特別なアイテムと交換ができるコイン(トークン)」「そのアイテム・コインの交換の場(プラットフォーム)」づくりだった。
資本力のあるプロジェクトではなかったが、有力なコンテンツを持ってくることができる面子ではあった。
実際、日本のアニメ企業やマンガ家、ミュージシャン、アイドルなどのアイテムを取り扱う方向で準備していた。
アイテムの対象は「著作物」のような大きな労力と資産価値を包含するものでなく、「オマケ」や「特典」の類のものだ。

このプロジェクトが発足したころは世界でICOブームが起こり、サギ案件も増えていた。日本の法規制は未整備で、一方、金融当局の姿勢が「厳しくなるのでは?」というタイミングだった。
国内の暗号資産取引所への上場を目指すICOは「もう無理ではないか?」と見られだしている頃だった。

このブログの「まちがってる!(セナーと金商法についての報道) その1~5」という記事で、当局の「暗号資産、ICOは悪」という恣意的な姿勢に憤っていたのは、まさにこのプロジェクトにかかわって居た頃だ。
(エクスキューズを言うと、当局は、当時、国内でも一部投資家層で過熱していたICO熱を何としても食い止めたかったんだろうし、そこには一定の理解を示す)

このプロジェクトでは、「海外籍の法人」が「海外でICO」し「海外に上場」する、という形態で、集めた資金で作るアイテム・トークン交換プラットフォームも「海外で設立運営」するつもりだった。
ただ、取り扱うアイテムは「日本」のものだったし、関与者もほとんどが日本人だった。
当時、国内投資家へのICO勧誘が“グレーかも(?)”と認識され始めていたため、基本的には海外の資産家や海外でビジネスを営む日本人などを対象にしていた。
ただ、当然、そんなターゲットはほとんどいないので、一部は日本人の方々にも話をしている。
いずれにせよ、当時の流行(?)だった一般層向けの「仮想通貨勉強会イベント」のような経路での勧誘はせず、自分含むプロジェクトメンバーの知人つながりといった、ごく限られた形でこの件は進められていた。

当然、そんな形だからお金は簡単には集まらず、それもあって自分は“クビ”になった、という経緯だ。
「あなたはいろいろ『提案』するばっかりで、投資家を集めてこない」
そんな言い分でクビを言い渡されたのだが、おいおい、ちょっと待て。自分は100%手弁当でビタ一文貰っておらず、自分の営業コストは全部自分持ち。むしろ、手詰まり感があるプロジェクトに建設的なアイディア投入をしてきた(しかも、そのアイディアを取り入れている側面もある)。
当時のプロジェクト主幹者の身勝手さには、今でも憤懣やるかたなしだ。
(双方大人なので、これで金輪際付き合いなし、ということにはならなかったが)

さて、ご存じのとおり、今ではセキュリティ・トークンのSTO(Security Token Offering)は“証券側”のルールでしっかり構築された。
ユーティリティ・トークンについても、暗号資産取引所が関与するIEO(Initial Exchange Offering)の形で、日本でも実例が出始めている。

●日本初のIEO、10億円を調達──申込金額は224億円超:コインチェック(Coindesk Japan 2021年 7月 30日 18:11)
https://www.coindeskjapan.com/117636/

上記記事にある日本のIEO第一号「パレット(Palette)」の文内の説明にはこうある。
「パレットは、マンガやアニメ、スポーツ、音楽など日本のコンテンツをNFT(ノンファンジブル・トークン)で流通させるブロックチェーンプラットフォーム」

うん、これって、上記プロジェクトと同じモデルだよね。
(もちろん、あれとPaletteさんは全く関係ない(はず)ので、誤解なきよう)
そして、ここで「なるほど、アイテムをNFT化する、というやり方が“解”だったのね」と思いいたる。

Paletteというプラットフォームでは、コンテンツホルダーはPalette Token(PLT)を手数料として支払うことでデジタルコンテンツをNFT化して流通できる。プラットフォーム内のNFTの売買は法定通貨も使えるがPLTで支払うこともできる。

<2021/8/27追記>ちなみに、前の「メルカリ黒字化とIT企業経済圏とNFT。そして『新しい金融』」で参照したように、Pelette開発のハッシュポートは前澤友作氏より4.8億円調達し、同氏と共に新サービスを提供予定だそうだ。(追記終わり)

当時、自分たちが取り扱おうとしていたアイテムは必ずしもデジタルコンテンツだけではなかったので一概には言えないが(それでも、電子タグをつけて疑似デジタルコンテンツとして取り扱うことはできるかもしれない)、コンテンツのNFTの流通の場と、交換できるコイン、というコンセプトで、仕組みもきちんと示せれば、今だったら「うまく行った」のではないだろうか。
もちろん、今さらタラレバを語っても仕方がないのだが。

むしろ、今やこの手のコンテンツNFT交換所は、手あかがついていると言えるかもしれない。
実は先日、東南アジアの某国出身の知人からとある新しい暗号資産への投資を勧められたのだが、これも「某国の優れたアーティストやセレブのNFTのマーケットプレイスを作ります」というものだった。
(ホワイトペーパーを読んだ限りでは、現段階ではマーケットプレイスの開発には着手していないと思われる)
某国発のプロジェクトなので日本人は特に関わっていないようだ。勧めてくれた彼はこの暗号資産にかなりつぎ込んでいるらしい(ただし、当該プロジェクト主幹者とは特に関係はない模様)。

初期の段階でとん挫した(自分がかかわった)コインと違い、こちらは某大手海外暗号資産取引所のブロックチェーンネットワーク上の仮想取引所(いわゆるDEX)上ですでに売買ができるようだ(IEOのDEX版、ということだろうか?)。値動きもあり、勧められてからも多少値上がりしている様子だ。

「いや~、カネがないから買えないよ」と投資は拒否しているのだが、無邪気に「うまく行ったら大富豪になれるよ!(You’ll be billionaire!)」と勧められて、複雑な気持ちがしている。
(彼は、自分が過去にICOプロジェクトにかかわっていたことを知らない)

さて、「あなたはいろいろ『提案』するばっかりで、投資家を集めてこない」と言われて袂を分かったと書いたが、その話に戻ろう。
自分が当時彼らに『提案』していたことは、
・「ICOの計画や方法論」に終始せず、むしろ、実現させようとする「プラットフォーム像」をもっと固めるべき
・それが固まればICOにこだわらず、IPOモデルで大企業に共同事業を提案できる
・限られたアーティストやクリエイター、コンテンツホルダーだけでなく、一般層が参加できる仕組みにするべき
・プラットフォームで広告モデル(企業スポンサーとのマッチング)のビジネスを行うべし
といったことだった。

提案だけでなく、実際に大企業へのアプローチも準備していたのだが、結局、うまくいかず終わっている。
自分がこういった提案を行う背景を鑑みるに、当事者たちの論点は、むしろ「ICOの計画や方法論」に終始していたように思う(少なくても、自分はそういう印象を持っていた)。

「プリセールス期間の後、エアドロップでトークン保有者を増やす」「某海外暗号資産取引所でIEOをしてもらう」といった、トークンの目先のことばかりが俎上に上がって、システム設計やプラットフォームの価値向上案、継続的にトークンが流通できる仕組みづくり等について、彼らはほとんど関心すらなかったように思う(言い過ぎかもしれないが、あくまでも主観的意見として)。

クビになった後でも、このプロジェクトで彼らに(というより、実質、主幹者に、だが)“聞き入れられなかった”主張は、自分の中で大きくなっていった。
特に、アイテム交換のプラットフォームをつくり、そこでどういった広告ビジネスを作るか、というテーマは、この間も書いた『新しい金融』、あるいはそれとの接点になるのかもしれない、という漠たる思いがあった(いや、これは“後付け”でそう思っただけかも知らんが)。

そして、そこから約2年の間、自分が主導的にプロジェクトを立ち上げ、<2021/8/27追記>件のICOプロジェクトとは全く離れて(以上、追記終わり)進めてきた。
当初の形が『スラマット(Selamat!)』であり、その後、「徳の経済圏構想」『徳の証明トークン(TOKU)』に変形していった。
2年間、複数の大手企業のオープンイノベーションチームやベンチャーキャピタル、インキュベーション組織など、色々と提案し、出資者や協業者を求めて動いたのだが・・・正直、自分の力不足、影響力の乏しさで、これまで成果を出すことはできていない。
簡単に言うと、(β版であれ)形にすることができていないからで、シビアに言えば「アンタは、まだ入口にも立っていない」とこき下ろされても仕方ないような状況だ。

現在は(ここ半年くらい)、もう一度アタマをゼロにして構想したいということも、自身の生活面の制約もあり、“お休み中”だ。

『スラマット』のコンセプトは「クリエイターからの特別な宝物(トレジャー)の『広告付き販売』プラットフォーム」だ。
プロからアマまで幅広いクリエイターやアーティストが出品する特別なサービス引換券(トレジャー)を販売するWEB上のプラットフォームで、買い手と同時に応援する企業や個人を募ることで、相手は安く買え、応援者は広告効果や満足を得る、という構造だ。
情報をオープンにすることで、トレジャー(ひいてはクリエイターやアーティスト)の人気度を可視化でき、一方で応援者側のランクやアーティストとのつながりも可視化でき、データ化できる。
これらのデータは広告含め様々な形で有用になりうる。

ICOプロジェクトで懲りていた(?)ので暗号資産は眼中になかったが、トレジャー入手のための独自ポイント「スラマット・ポイント」の活用を、当初は考えていた。
このブログでもたびたび書いてきたように、新たな「経済圏」を作り、個人データを収集する仕組みはこれからのビジネスの“王道”と思ったからだ。
先日来、『新しい金融』として各IT企業が経済圏を構築しようとする動きを紹介しているとおりだ。
(でも今は、一方で、それでは結局、“閉じた経済圏”にしかならないよな、という観念も持っている)

『スラマット』での応援は、“自分には何の得もないのに、誰かのためにお金を出す”という点で、ある意味、“徳”のある行動、と言える。
もちろん、多くはどこかで人の目に留まり、何がしかの評価をされることを期待しての行動なので、無私ではなく「評価経済」の範疇になるのだが。
それでも、こういう仕組みが定着すれば、「カネがある人だけが欲しいものを手に入れられる世の中」というものを変えることができるかもしれない。
次第に、「徳の経済圏」ということを考えるようになっていった。

件のICOプロジェクトは「どうやったら儲かるか」しか根底にない方々の集まりだったし、仮にあのプロジェクトが成功して、当初考えていたプラットフォームができたとしても「カネがある人だけが欲しいものを手に入れられる場」にしかならなかっただろう。
ICO案件がきっかけで『スラマット』という新たなビジネス構想について熟考したことで、アンチテーゼとして「徳の経済」を理念に掲げるプロジェクトに、となったと思う。
大きな価値転換だった。

そのうちに、「徳の経済圏」を『スラマット』だけで築き上げることなど無理では、と思うようになった。
“自分には何の得もないのに、誰かのためにお金を出す”という行動は、例えば、寄付だったりクラウドファンディングだったり、様々なところで行われている。
それらすべてを“取り込む”ことはできないだろうか、と考えた。
・『スラマット』以外の行動を含め、世界中の“誰かを応援してお金を出した行動”を可視化し、データ化する。
・行動した人にささやかな“ご褒美”(『徳の証明トークン(TOKU)』)を与える。
そんな、寄付サイトやクラウドファンディングサイトを、裏で横ぐしでつなげるような方法だ。
この構想は、あまり形にまとまらないまま出資・協力者アピールに走ったが(例:『くらふぁん』)、TOKUは、“閉じた経済圏”志向ではない、それらを繋ぐような存在になれると考えている。

先述のとおり、『スラマット』「徳の経済圏構想」『徳の証明トークン(TOKU)』と変遷した自分の挑戦は、ほぼ進展・結実しないまま、今、“休み時間”に入っている。
だから、大言壮語を続けるつもりはないのだが、それでも、自分がこれまで考え、チャレンジしてきたことは、「未来」につながっている、と感じている。

今になって、「あのICOプロジェクトの“解”は、NFTだったんだ」と得心したように、いずれ、「あの『徳の経済圏構想』の“解”は、こういうことだったんだ」という日が来る気がする。
その時に自分がその動きに関われていれば、なお良し、なのだが・・・。

こうやってブログで様々な発信を続けることも、未来を引き寄せることにつながる、と信じている。
ここ数回書いている「新しい金融」と、それに対峙するべき「個の力」と「個のネットワーク」、「特別なサービス」を、という主張もそうだ。

●安いニッポン 買われる日本(DIAMOND ONLINE 2021/8/2~)
https://diamond.jp/list/feature/p-cheap

このDIAMOND ONLINE特集記事にもある通り、日本はいつの間にか世界の中で「安い国」になり果ててしまっており、その地位に安住してしまっている。
以前、「オジサンたちは変わらなければならない」を書いたが、「変わりたくない」「チャレンジしたくない」一定層の人々が“重し”になっていることが大きな理由だと思う。

NFTをきっかけに、自分のここ数年を振り返ってきたが、一言で言うと、(その心中はともかく)前向きにやってきたと思う。
これからも、できる限り前傾姿勢で未来に対峙したい、と思っている。

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