http://wedge.ismedia.jp/articles/-/16795?layout=b
→2019/7/19 Wedge Infinity 「352億円で会社を売却した起業家が次に目指すもの」

NTTからマイクロソフト(そこでウィンドウズ95の完成に携わり)、そしてアメリカで「Xevo」という会社を立ち上げて352億円で売却した中島聡さんというエンジニアさんのインタビュー記事。

インタビューで語っている内容をかいつまむと、
・日本企業がだめになったのはデジタル化に乗り遅れたから
・書店→amazon、DVD→Netflix。今後は自動車でも銀行でも医療でも、あらゆるところにデジタル・ディスラプションが
・規制に守られた日本ではUber導入が遅れている。おそらく自動運転ができて自動運転+Uberの世界が来る。既存のタクシー会社は太刀打ちできない
・AIによるディスラプションの波を最初にかぶるのは金融。銀行は政府の延命措置で永らえているが、結局はどこかでフィンテック改革の大波にさらされる
・中国が個人情報を集めに集めて、AI大国になろうとしている。対抗するアメリカは、結局プライバシー重視に傾くだろう
・米中対立で世界経済は悪化し、日本は米国からの圧力(1987東芝COCOM違反事件のように)に常にさらされる
・日本でNECと富士通がいまだに生き残っているのは、政府の公共投資による延命にすぎず、実際はどんどん脆弱になっている
・本来、ベンチャーが活性化しないといけないが、終身雇用の親世代の影響で若い世代も保守的なため、終身雇用的な安定環境が好まれる。日本はまだまだ終身雇用制から脱却できない
・年金は401K(確定拠出年金)にシフトされる
・自動運転は、はやく特区化して“進化圧”をかけるべき
・自動運転より、金融AI化のほうが早く進む

「わが意を得たり!」な内容で、その通りだと思う。むしろ、経団連ですら「デジタル・ディスラプションによってすべての日本企業が壊滅的な打撃を受けかねない。変わらなければ」というレポートを出しているぐらいだから、ここに書いている内容は一定層における「常識」だと思う。

しかし、自分の周りを見渡せば、「そんなこと知ってるよ。だけど、自分に何の関係があるのさ?」というスタンスの人が多い。
自分はいわゆる“世代論”は嫌いなのだが(人の考え方や状況はそれぞれ違うはずだ、という至極まっとうな思いを持っている)、さりながら、やはり自分の属する世代には“危機感”が薄い、と言えてしまうのかもしれない。

自分がずっとチャレンジを続けてきた過程で、あるいは、現在チャレンジを行っていることに関して、ビジネス的なアプローチ対象とは別に、多くはないが複数の同世代の友人知人に相談をしてきた。
これについては、相談できるだけ“まし”で、ほとんどの人は話しすらまともに聞こうとしないため、空気を読んで別の話題に終始する中、それでも話を聞いてくれる彼らは“優しい”方々で、非常に感謝している、ということをまずきちんと述べておきたい。

そのうえで、ないものねだりとして語りたいのだが、話を聞いてもなお、上記の通り、「世の中が変わるというのはよくわかるよ。でもさ・・・」「君がチャレンジをしている姿勢は素晴らしいよ。でも・・・」「自分はそんなおおげさな立ち位置で働いているわけではなく、今の仕事をどう変えていくか、ぐらいの変化を求めているから・・・」「ウチの組織の中に、イノベーションに携わる要素があるのはわかるよ。でも、自分の役割とは違うから・・・」等々、「自分に何の関係があるのさ?」という返答をいただいて、ただただ言葉を失ってしまうのだ。

いやいや、別に、自分は“便宜を図ってほしい”などと言っているわけでもなければ、“お前ら間違っている、反省しろ”と居丈高に詰っているわけでもない。
せっかく話をする以上、興味ぐらい持ってほしいのだ。あなた方がお忙しくて、日常をこなすのに精いっぱいなのは重々わかるつもりだが。そのうえで、「よくわかった。一緒に勉強していきましょう」くらいな“仲間”感がほしいのだが・・・これはそもそも“ないものねだり”なのだろうか。

「今の世の中に対する“危機感”と“期待感”」を共有できないもどかしさ、そして、自分が行っているチャレンジが彼らにさして“期待感”を生ませない現状に対して、切なく感じてしまう。
自分が記事の中島さんなら、こうはならないのになあ、とも思う。同じようなことを言っていても、実績のある優秀な人と、実績のないただのおっさんの言葉とは、聞く人にとって雲泥の差があるのだろうなあ、という諦観が・・・。

あまりネガティブなことを書いても仕方がないのでこれくらいにしておく。
なお、それでもなお、ここに記すことを決めたのは、愚痴の吐露でもなんでもなく、この文章がいつか、彼らの心に届くことを信じてのことだ。
(一生読まれないかも、ですが)

そういうわけで、自分は自分で、“自分に期待して”先に進みます。。とはいえ、これからも話は聞いてちょ。せばっ!