あえてノモンハンの番組と比較して語れば、Kさんの視座は、例えば自陣を離れた部隊長を糾弾する上官や、捕虜になった部隊長に暗に自決を迫る人々とは全く異なっていたな、と思う。

もちろん、いち証券会社の小さな小さな仕事での失敗と、多くの人命を預かる軍隊での失敗を同列に比較するのは論外なわけだが。

それでも、個々の人物ではなく俯瞰的に物事を見つめ、合理的に判断し前向きな解決策を求めようとするKさんの考え方に、当時非常に感銘を受けたし、その後の自分は、そういった考えに改めて過ごすことになった。

現在の自分がどうこうではなく、場合によっては大風呂敷に聞こえかねないことも大局をとらえて語るようにする。

そんな自分の粗忽な(?)性格は、Kさんに後押しされたのかもしれない・・・などというと、「人のせいにするなよ」とKさんに怒られてしまうかもしれないな。

 

一時期、わが身を顧みずに図に乗っていたな、と思うこともある。“社内官僚”として相応に評価されていたころだ。

山一を卒業し某外資系企業で同じ商品を担当したのだが、年期だけは長い自分はその商品の“担い手”ぐらいに大いに勘違いして(?)、よく酒の席で、

「いいか! この商品は個人金融資産1400兆円(当時)を直接金融市場に取り込むためのメイン商品なんだ」

「株式持ち合いとメインバンク制度に縛られて変革の余地がない日本経済に活力を与えるのは、個人のリスクマネーの供給・資本市場への参加であり、我々はその担い手なんだ」

などと、ご大層なことを言っていた。

 

「鼻くそがわが身を顧みず偉そうなことを。声を潜めたまえ」と、当時の自分に言いたいが、「ふん、今のお前なんか、たかだか目くそじゃねえか」と言い返されてしまうかもしれないな。

 

ちなみに、そのように尊敬するKさんなのだが、彼とはすごく親しく交流した、というほどでもない(一度、後輩と一緒に小旅行に行ったが)。なので、これまでどうされてきたか、現在どうされているかも知らない。

以前、人伝えで、銀行系の(官僚チックな)組織で閑職に追いやられ、必ずしも組織人としては幸せではない、と聞いたことがある。

 

そのKさんからつい最近、某SNSでお友達申請が来た。なので、お友達にはなったが、特に何か会話をするでもない。どうしたものか、と思う。

正直に言うと、SNSでのやり取りって苦手なのだ。。今の時代、そんなことを言っていたら化石扱いされるし、自分自身が「SNSも積極活用して、コミュニティーに深く刺さるPRを」などとほざいているのだが。。何となく、ね。

 

いずれ時期が来れば、お互い元気に再会できることだろう。そう信じることにしよう。