確かにその通りだ。

グローバル化で世界が一つになり、それまで各国で閉じられていた“映画市場”“テレビドラマ市場”のようなローカル・マーケットが、論理的には一気にグローバル化してくるはずだ。
その主役は(出力先のデバイスは問わず)インターネット経由の動画視聴であり、実際、その動きはすでにかなり進んでいる。
実際、NETFLIXやamazonプライムはすでに日本でも完全に浸透している。dTVなど国内勢も検討している。いずれのプラットフォーマーも地位確保のために多くのプレミアムコンテンツをそろえている。

(講演の内容はそこまで踏み込んでいなかったが)それは、巨大なプラットフォーマーたるためでもあり、その結果、多くの個人情報や視聴履歴といういわゆる「ビッグデータ」を獲得するためでもある。
今後、様々なデバイスから個人のありとあらゆる情報を収集し、その集積されたビッグデータをマーケティングなどに活用する、というのは抗い難い流れだ。
先日来のアメリカのいわゆる“FACEBOOKショック”で若干の軌道修正はあるにせよ、そもそも次代のキーワードである「IoT」がそれを前提にしたものでもあり、世の趨勢はそう変わらないだろう。
だから、プレミアムな映像コンテンツの視聴履歴というデータは、その視聴(消費行動)自体以上に、価値を生んでくるものなのかもしれない。

そんな中で、日本ではアメリカのように、例えば「NTTが東宝を」とか「東宝が松竹を」や「フジテレビが松竹を」のような買収構想の噂すらない。平和なものだ。

そして、これもよく考えたら仕方がない話だ。彼らはどうあがいても世界を意識した「巨大プラットフォーマー」にはなれないからだ。
10年前ならチャンスが有ったが、今からそれを目指すのは絶対に無理だろう(NETFLIXなど以外にはチャンスがあるのはテンセントなど中国企業しかない)。

だから、せいぜい彼らは小さな市場を独占するプラットフォーマーとして「日本の映画やドラマはグローバルなニーズはないので国内マーケットだけ狙えばよし」となる。彼らが数十年間ずっと言い続けているように。
なぜなら日本の映画の製作委員会は“権利者”兼“流通者(≒プラットフォーマー)”であり、テレビ局もコンテンツホルダーというよりは放送法に基づくガチガチのプラットフォーマーで、彼らは純粋な権利者や「クリエイター」ではないからだ。

 

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