経験に頼らず、新しい状況から学習する。変化はチャンス

●【山口周・特別講義】「学び」を活かせる人、活かせない人の決定的な違い(2022/8/9 DIAMOND ONLINE)
 
先日ここに書いた「【コラム】『あの日、偶然そこにいて』元山一證券の方々の人生に思う「変わらなきゃ!」」を読んで、友人が「この人が似たようなことを言っているよ」と紹介してくれた、山口周さんの講義からの記事。
(出版本の販促的な内容ではあるが)
 
「これまで、私たちは「経験量の多寡」を、その人物の優秀さを定義する重要な尺度として用いてきました。しかし、これからは「経験量の多寡」が、そのまま有能さを表す指標にはならない時代がやってきます。」
「近い将来、「豊富な経験を持ち、その経験に頼ろうとする人材」はオールドタイプとして価値を失っていく一方で、「経験に頼らず、新しい状況から学習する」人材がニュータイプとして高く評価されることになるでしょう。」
(以上、上記記事より)
 
本当にそう思いますし、「新しい状況から学習する」「新しいチャレンジをする」人たちが評価される世の中になってほしいと願います。
 
「あらゆる方面に興味を持ち、未来への仮説を持ちながらもそれを都度修正し、余談なく学ぼうとする。」
自分が完璧にこうできるかは別として、自分が目指したいと考えている姿ですが、この方の主張も近いものを感じました。
 
すでに世の中は過去の延長線上にはなくパラダイムシフトが始まっていると思います。
(スピリチュアル方面では「風の時代」と言ったりしますね)
「終わった人」と決めつけられがちなシニア・ハイミドルは自他の尺度でがんじがらめになりがち。
しかし、変化はチャンス、です。
横を見て誰も動かないからいいや、ではなく、自分を軸に。
 
 
 

『あの日、偶然そこにいて』元山一證券の方々の人生に思う「変わらなきゃ!」

●あの日、偶然そこにいて NHKアーカイブス映像や過去の記録を入り口に 人生の機微を描き出す
(3)「人生の大きな転換点 (竹の子族リーダー引退/山一経営破綻)」(初回放送日: 2022年7月29日)
https://www.nhk.jp/p/ts/3L8KNZ978W/episode/te/429PGP4J8Z/

先日、NHKで『あの日、偶然そこにいて』という番組があり、山一證券OBが取り上げられていた(リアタイで見られなかったのでNHKプラスで視聴)。

この番組で取り上げられていた元山一社員は自主廃業当時にNHKから取材を受け、当時の映像と一緒に、20数年たった現在の姿が紹介された。
当時の新入社員もおり、その彼らですら既に40代後半ということで、過ぎ去った月日の速さを思う。

紹介されていた方々は、以下の6名。一人だけ映像開示無しだった(なお、イニシャル表記だが、番組上は実名で紹介されていた。カッコ内は現在の年齢)。

・自由が丘支店でインタビューされた男性:営業課長 K氏
―旧山一本社(中央区新川)近くの印刷会社の営業担当取締役として働く
―「ヒトの山一」と言われた前社の信用もあって入社
―よく旧本社ビルを眺めては感慨深く思っている

・同:若手営業マン T氏(54)
―大手機械メーカー(京都?)勤務
―転職=ステップアップではない、という考え方
―山一の自主廃業は外部要因だったが、それまでの金融業界から別業界に移るいい機会だった

・インタビュー映像無し:当時事務職、30歳超えの女性
―関西の方?
―自主廃業後、知人のあっせんで金融関係の仕事に従事
―当時のトラウマがあり「次こそは絶対つぶれない会社に」を願った

・新宿支店でインタビューされた男性:新人営業マン Y氏(48)
―山口県下関市で質屋だった実家を発展させライブオークション企業に。現在、1800社がサイト上で取引している
―山一自主廃業で「今(現状)がいつまでも当たり前に続くわけじゃない」という大きな教訓を得た

・東京本社前でインタビューされた女性:新人(当時の勤務部署は不明) Y氏(50)
―外資系企業を渡り歩き、現在は大手IT会社で営業戦略にかかわる
―自主廃業当時、好きだった山一の不正を知り、葛藤・悩み
―それもあり、内部不正を監査する公認内部監査人という資格を取得

それぞれの人生が垣間見えて、感慨深く思った。
皆、それぞれの立場、それぞれの社会的役割の下で、「変わらなきゃ!」という体験を経験し、誠実に生きてこられたようで、シンパシーを感じた。
(ちょっと腐ってしまっている今の自分に、ポジティブな影響をいただいた気も)

自分は山一破綻の後すぐ同社人材の大量雇用を行ったM社に“立ち上げ要員”としてスムーズに入れた身だ。M社でもある意味分不相応ないいポジションに座らせてもらっていた気もする。
当時、特に山一の当時中高年層だった先輩方は再就職で非常に苦労されたとも聞いており、そういう意味では、自分は非常にラッキーな立場だった。

むしろ自分の場合は、その後の行程の方がドラマチック(?)だ。
メンタル面含め色々なことが有って「このままでは閉塞感で押しつぶされてしまう」「新たなチャレンジをすべきだと感じるし、したいと思う」(もっと言うと、「日本は、今変わらなければ駄目になる。自分はその先鞭をつけるのだ」という不遜な思いもあった)という流れで、新たなジャンルに果敢に挑み、それから10数年経て、残念ながら現段階では日の目を見ておらず、これまで不遇に過ごしてきた。

それでも、不遜ながら「変わるためのチャレンジ」を行ってきたことについての多少の自負はあるし、それを経験せずに生きてきた、例えば大企業で自分の狭いポジションを死守することだけに必死で「妖精さん」呼ばわりされる同年代の一部の方々に比べると、よほど充実した人生を歩んできたという、負け惜しみに近い気持ちは持っている。
(大企業に居るシニアはそういう人ばかりだ、などと言うつもりはないのであしからず)

先日、本コラム(ブログ記事)で「くすぶるな50代。チャレンジするシニア金融マン&ウーマンに光あれ!」と題する記事を書いた。
それを読んでくれた同世代の友人から、「くすぶるな、という以前にそもそも『火種がない』人が多すぎる」「今の延長でしかものを考えられない、冒険しない人が大多数」だとコメントをいただいた。
自分も、日本の大企業文化を垣間見るに、そんな気がしている。

思えば、山一破綻の教訓は、「みんなが知っている大企業でも、あっという間につぶれ、社員が路頭に迷うことがある」ということだったはず。
NHK番組インタビューの、新宿支店営業マンだったYさんの「今(現状)がいつまでも当たり前に続くわけじゃない」という認識について、自分は果てしなく同意する。
だからこそ「組織に隷属しない生き方」や「自分に軸を持つ」ことへの模索が重要、ということだと思う。

山一破綻以降も、複数の日本の大企業で多くの不祥事が起きて、そこで働く“中の人”たちの“悲喜こもごも”がドラマチックに消費されてきた。
そこで登場する様々な企業戦士の方々に対しては、同情やシンパシーもある一方で、それは組織に“しがみついてきた”ご自分たちの責任でしょ、という突き放した気持ちも持っている。
(もちろん、支えるべき家族のために積極的に組織にしがみつく選択をすることは決して悪いことではないのだが)

これまでの日本社会に対し、折角、20年以上前に山一破綻という良い教材を得たのに、それをこれまで活かせていない、という残念な思いがある。
それでも今や、岸田政権は「新しい資本主義」の名のもと、労働市場で人への投資を加速させ、成長分野へ100万人「労働移動」させる方針だ。
シニア含め「リスキリング」で“自分”に付加価値を付け、新たなチャレンジを喚起する。
副業が促進され、独立起業も推進される。
本格的に「自分に軸を持つ」べき時代に突入したのだと思う。

なお、この「リスキリング」は組織(主に大企業)側の責務、と位置付けられている。
でもどうだろう。
お仕着せの「このように変わってください」という誘導で、労働者側が本当に“変わる”ことができるのだろうか。

世の中はすでに、山一があった時代(組織が人を守ってくれる)でも、山一が破綻した時代(組織が無くなっても、無くなった組織の影響力で次のステップを踏める)でもない。
組織が優秀であろうがそうでなかろうが、結局は“個”の影響力、“個”の責任になる時代に移行したと思う。
「変わろう!」という積極的な気持ちが“個”の側にないと、いつまでたっても前に進めない。そして案外、これは老若男女で同じ条件なのかもしれない。

だからこそ、シニアにはチャンスがある。社会経験のない新人に比べ、ネットワークの蓄積があると思うからだ。
(ノウハウの蓄積がある、とは言わない。なぜなら、そちらの方は、残念ながら相対的に陳腐化してしまっていると思うので)

自分が管理人を務める『フィナンシャル・パーソンの幸せなセカンドキャリア』は、シニア・ハイミドルの金融マン&ウーマンのため、彼らが第2の人生を輝かせるためにソリューションや仲間を探す・見つける場に育てていきたいと思っている。

その目標までの道のりは遠いが、こういったコラムで発信することも、その一助になってくれれば、と願う次第。

 

~この記事は『とるじいやブログ』『フィナンシャル・パーソンの幸せなセカンドキャリア コラム(ブログ)』双方に掲載されています~

くすぶるな50代。チャレンジするシニア金融マン&ウーマンに光あれ!

●日経ビジネス 特集「くすぶるな50代 『生涯現役』への分岐点」(2022/8/8 号)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/01182/

日経ビジネスで「くすぶるな50代 『生涯現役』への分岐点」という特集記事が出ていた。
同社編集側が記事化の企図を伝えるYouTube(「校了乙」)では、この特集記事を企画したというまだ新入社員の女性記者が、この内容を取り上げた背景を、
・岸田政権でリスキリング強化政策を打ち出している
・企業でも定年延長でシニア層の活躍を重視している
・一方、一部以外のシニア層はネットで「妖精さん」と揶揄されることもあり、会社で存在感を打ち出せていない
等だとし、
・今の時代、年齢に関係なく、「これからどうしよう」という悩みを誰もが持っている
と説明していた。

確かに、個人的には「既存の仕事に変化の必要性」→「リスキリング」→「年齢を意識せずキャリアアップ」というのは、何も50代・シニアだけのテーマではないと思っている。
これからの日本社会全体の新常識なのだと思う。
この“時代の転換期”(これは、10年以上前から提言されていたにもかかわらず、ようやく今になって“待ったなし”となった、ということだが)に「変化しないとダメ」と言われる、主に大企業の人たちの多くがちょうど50代に差し掛かった、ということなのだろう。

(参考)人的資本投資拡大に向けて 人材抱え込みの発想転換を 一條和生・IMD教授 経済教室(2022年8月11日 5:00 日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD293XG0Z20C22A6000000/

上記日経記事にもある通り、日本企業は“変化に弱い”ことが顕著で、そのため国際競争力が低い、と認識されている。
ビジネスのアジリティー(機敏さ)・ビジネスの環境変化の認識・環境変化への対応・意思決定におけるビッグデータとアナリティクス(分析)の活用・マネジャーのアントレプレナーシップ(起業家精神)など14項目中の5項目で日本は最下位だという。

「人的資本投資拡大に向けて 人材抱え込みの発想転換を」と題されているがその通りで、日本の大企業社会の本質的な問題は、正規雇用者の過分な権利と彼らがそこに安住してきたことにある。企業が人材を囲い込み過ぎているのだ。
自分の「とるじいやブログ」でもこれまで数限りなく企業・個人双方の“変化の必要性”を訴えてきた(※)し、自分が管理するホームページ『フィナンシャル・パーソンの幸せなセカンドキャリア』では、一貫したテーマは組織隷属ではなく「自分を軸に」生きる、だ。

※ とるじいやブログより
2022年1月16日 「新しい金融」時代が始まったが「古い人」は無価値ではない
2021年10月14日 「安い日本」と中抜き体質の日本的経営。「45歳定年制」に思う

実際、副業促進や起業推進など、外部環境は大きく変わり始めている。

(参考)厚労省、副業・兼業の指針改定へ 容認の有無、企業に公表促す(2022/6/27 Yahooニュース)
https://news.yahoo.co.jp/articles/450a2c4a5ced970ed4f28c3f05dfd5f39d621afe

まだ副業率は若年女性で2割程度で、シニアへの広がりは薄いが、今後、シニア・ハイミドル層の副業や独立が増えてくるだろう。

●副業率、若年女性は2割迫る 中高年は広がり欠く経財白書で読む「人への投資」③(2022/8/8 日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA294AT0Z20C22A7000000/

日経のビジネスの特集では、例えば「越境学習」として他の事業者と交流し学び合う共同プロジェクトだったり、実際に起業・独立・転職した50代の生の声などを紹介したりしている。

「変化はチャンス」であり、今チャレンジを始める人が、これからの時代を制すこともあるだろう。
ホームページ『フィナンシャル・パーソンの幸せなセカンドキャリア』では、今後、様々なチャレンジを行っているシニア金融マン&ウーマンの声を届けていきたいと願っている。
(HP構築が牛歩でお恥ずかしいが・・・)

くすぶるな50代、チャレンジするシニア金融マン&ウーマンに光あれ!

 

~このブログは『とるじいやブログ』『フィナンシャル・パーソンの幸せなセカンドキャリア ブログ(コラム)』双方に掲載しています~

「新しい金融」が動き出している。金融営業マンはマーケター?

  • 三井住友FG、NFT事業参入 ブロックチェーン新興と協業(2022年7月22日 日経)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB226RF0S2A720C2000000/

 

三井住友フィナンシャルグループ(FG)がブロックチェーン事業の新興企業・ハッシュポート(東京・港)と協業し非代替性トークン(NFT)事業に参入し、両社で調査・研究組織「トークンビジネスラボ」を立ち上げる、という記事。

将来はNFTなどデジタル資産のカストディー(資産の管理・保全)サービスなども視野に入れており、トークンビジネスを検討する企業の支援やコンサルティングに取り組むとのこと。

 

三菱UFJ銀行も3月に香港企業と協業してNFT等デジタル資産事業に参入すると発表しており、三井住友トラスト・ホールディングスも5月にデジタル資産カストディー業務に参入することを明らかにしている。

 

このブログで長らく、証券会社など金融機関のデジタル資産本格参入、NFTの活用、そして企業マーケティングへの援用を主張してきた。

“新しい金融”の世界では営業マンはクライアント企業のマーケターになり、「株主優待制度」のようにデジタル資産・NFTを使い企業と消費者の間を取り持ちロイヤルカスタマー化する手助けをする立ち位置になるべし、と書いてきた。

コンテンツを利用したマーケティングなど、エンタメとファイナンスの領域が近づいてくる、と考えている。

(そして、コンテンツ系企業へ多少、営業活動を行ったこともある。空振りだったが)

 

今回の三井住友フィナンシャルグループや三菱UFJなどの取り組みが、自分が「予言」している方向性につながるかはわからないが、とても注目している流れだ。

 

この記事は『フィナンシャル・パーソンの幸せなセカンドキャリア』のコラム記事になっています。

マスク氏への他力本願:ツイッターはスラマットを始めよ!

●ブラジル大統領、マスク氏のTwitter買収「希望の息吹」(日経 2022年5月21日 4:13)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20ES90Q2A520C2000000/

先だってツイッターの買収を宣言したイーロン・マスク氏。とはいえ買収の行方は未だ予断を許さず、ここのところセクハラ疑惑など氏にアゲインストな話題も多い。
世界一の富豪となったものの、順風満帆とはいかないようだ。
うがった見方では、マスク氏がツイッター投稿に対し、これまでのフェイクニュース狩り・言論統制ともいえる恣意的な運営を改め、凍結されたドナルド・トランプ氏のアカウントも復活させる意向を示しているため、現政権・体制側から疎ましく思われている、という。もちろん真偽のほどは分からない。
この日経記事は、ツイッターを駆使して自己主張しフェイクニュース扱いも受けてきたブラジルのボルソナロ大統領がマスク氏と会談し、同氏のツイッター買収について「希望の息吹だ。世界には自由を盗もうとする人々がいる」と賛同の意を示した、というもの。マスク氏にとっては心強い言葉だろう。
(ブラジルはマスク氏率いるスペースXの衛星通信ネットワーク「スターリンク」を用いて、アマゾンの熱帯雨林監視や地方にある学校のインターネット接続で協力することも発表した。)

実は、マスク氏がツイッター買収意向を示してから、個人的に今後のツイッターのサービス動向が気になっている。
いつもの“妄想”気味で恐縮なのだが、自分が提唱していた「徳の経済」そして「スラマット(Selamat!)」のサービスを、ツイッターなら始められるのではないか、という漠たる思いからだ。

スラマットのコンセプトは、例えばコンサートチケットを売りたいアーティストが事前に投げ銭を募り、その集まった額に応じてチケット金額が元々の定価より下がったりタダになったりする、というものだ。
投げ銭する人や企業の投げ銭行動・金額はリアルタイムで開示される(フロー)。また、データベース化され、このデータベースも原則開示される(ストック)。第三者が様々な指標に基づき投げ銭する人や企業を評価できる仕組みだ。
こうして投げ銭を行う者たちが競い合うことで、第三者であるアーティストのファンを助けることで、広告的価値やファンからの畏敬の念を生む、という仕組みだ。

フローの開示の方は、「スラマット・ウィンドウ」というツイッターのつぶやきのような形態であまねく広く行いたいと考えていた(広告のRTBシステムを準用して)。
また、(第三者からの評価など)一定の条件に達した投げ銭者には「TOKU」というトークンを与えることで、広告効果や畏敬の念以外の実質的なメリットが提供できると考えている。

ツイッター社やマスク氏は今のところ全く考えていないと思うので大きなお世話だろうが、仮にツイッターがスラマットのサービスを始めることを考えてみる。
前者のスラマット・ウィンドウと投げ銭の仕組みは、現在、ツイッターが提供している「Tips」という投げ銭システムをそのまま使えば容易にサービス開始可能だ。

●(参考)Twitterの使い方:Twitterの投げ銭(Tips)とは?受け取り方・送り方まで分かりやすく解説(Insta Lab 2022.01.14)
https://find-model.jp/insta-lab/twitter-tips-manual/#i-4

あとは、
・リツイートに変わる(リツイートを援用する)第三者評価の仕組みを持つ
・投げ銭状況をデータベース化し、各種指標に基づき成績を開示できる仕組みを作る
・一定の第三者評価値を得た投げ銭者にNFTトークンのような形の報酬を与える
といったサービスを加えたらいい。

スラマット対象も、自分が最初に考えたリアル世界のコンサートチケットなどだけでなく、ゲーム関連のアイテムなど、メタバース内で流通されるものに重点を置いてもいい。
何なら、これから広がるメタバース世界に通底する価値観として「徳の経済」が有ってもいいと思う。
(色々説明をすっ飛ばしていて恐縮だが、メタバースという新しい世界には「徳の経済」という新しい価値観が似合うと思うのだが、どうだろうか。)

マスク氏のようなアイコン居れば「徳の経済」という新しい価値観を打ち出し、世の中を変えることが可能かもしれない。
自身のスラマットへの取り組みが尻すぼみとなり失意の日々の中、すっかり他力本願になってしまったが、将来、ツイッター社がそのような方向に向かうことを期待している。

ドル本位制から「天下の秤」の時代へ

●「ブレトンウッズ3」の足音 せめぎ合うドルと商品 特任編集委員 滝田 洋一(日経 2022年3月27日 13:00)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD220VM0S2A320C2000000/

日経特任編集委員・滝田氏の解説記事。
ロシアのウクラナ侵攻に対する制裁が、ロシアを国際金融網から締め出す形で実施され、ドルを金融兵器として用いる「金融戦争」になった。この結果、これまで国境をまたいで金が流れ富が富を生んだ「グローバリズム」に終止符を打つことなる、というご指摘だ。
この記事で、クレディスイスの金利戦略責任者ゾルタン・ポズサー氏が提唱する新しい基軸通貨体制「ブレトンウッズ3」について説明している。
曰く、
1.ブレトンウッズ体制(金ドル本位制)=ニクソンショックで崩壊
2.ブレトンウッズ2(ドル基軸通貨)=現在、これまで
3.ブレトンウッズ3(商品・人民元の台頭)=今、その幕が切って落とされようとしている!

ポズサー氏の「今回、ロシア制裁に踏み切ったことがドルの弱体化を招くことにつながる」という慧眼(なのかな?)。
ドル資産を差し押さえされる国はドルの代替資産を求め、原油など商品の役割が増す。資源商品にプレミアムが付き非資源国や新興国ではインフレと政情不安が起こり、そういった先に中国人民元による基軸通貨チャレンジが行われる、という説明。

●中国・習近平、じつは「金、石油、穀物」
をひっそり「爆買い」している危ない事情。世界通貨ドルは大ピンチへ 福島香織(Gendai.Ismedia 2022.03.28)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93575?page=2

ほぼ同じ日に出た現代イズメディアの福島氏の記事。
こちらの記事では、同じくポズサー氏の指摘をより詳細に参照している。

ポズサー氏:
「目下の危機が収束しても、ドルは明らかに弱体化するであろう。
ゴールドを基礎にしたブレトンウッズ体制は内部通貨(インサイド・マネー=押収可能な米国国債など)を基礎にしたブレトンウッズ2に移行し、さらに外部通貨(アウトサイドマネー、ゴールドとその他コモディティ)を基礎にしたブレトンウッズ3に移行していくだろう。
危機が過ぎた後も、グローバル金融システムは依然とかなり違う形になるだろう」
「今まさにコモディティ危機が醸成されている可能性がある。コモディティは抵当になり、抵当がすなわち通貨の役割をする。
この危機はまさに外部通貨が内部通貨よりも魅力を増し続けることによる誘発される危機だ。ブレトンウッズ2は内部通貨の基礎の上にあるが、G7がロシアの外貨準備を凍結した時、その基礎はすでに崩壊しているのだ」

記事内の(二重)参照ばかりで恐縮だが、福島氏の記事では、モルガン・スタンレーの外為新興市場グローバル主管のジェームズ・ロードが出したリポートにも、同様の指摘がある、と書いている。

ロード氏:
「米国とその同盟国がロシア中央銀行の外貨準備を凍結する意向を示して以来、市場実務家はすぐに、ドルベースの国際金融システムからの離脱が加速される、という見方を示している」
「その他中央銀行が自分たちの外貨準備が、思っていたほど安全でないということに気づき、ドルの準備金を多元的に分散投資し始めたのだ」

福島氏記事によると、ロード氏いわく、各国中央銀行の外貨準備の備蓄資産(やソブリン・ウェルス・ファンド)が今後、買い貯めるのは、
・政治的同盟国の通貨や金融商品
・ゴールドなど実物資産
・自国範囲内で管理できるもの(可能な限り)
になってくる、ということ(・・・多少、自己流解釈かもしれないが)。

で、この記事曰く、ポズサー氏らのレポートを中国・習近平政権(金融当局関係者)が注目していて、金、石油、穀物をひっそり「爆買い」しているという。
その結果、ドルとの通貨戦争において中国人民元の地位が上がってくるだろう、という見立てだ。

と、長々と記事を参照して書いたが、自分は経済に強いわけでもないので、十分理解しているとは正直、言えない。しかし、

「ついにドル基軸体制が終わり、商品+人民元が力を持つ『ブレトンウッズ3』の時代がやってくる」

という大きなインパクトを受けた。
大きな「終わりの始まり」なのかもしれない。
日本はアメリカべったりの“オンリーさん”なので、日本政府・日銀(統合政府)のこれからの低空飛行化が見えるようで、恐ろしかったりもする。

とはいえ・・・。
この「ブレトンウッズ3」は、国際金融体制を昔の形に戻す、ということなのかもしれない、と思った。

ポズサー氏やロード氏の考えでは、これまで外貨準備で安全資産として何も考えず買われてきたドル資産の価値は下がり(少なくとも縮小したドル陣営の中でしか価値が認められなくなり)、実物資産にシフトしてくる。
通貨(銭)も商品も同じく価値を交換するモノであり、実用プラス交換手段として利用される貨幣と認識されることになる。
それは、中世の両替商や貿易商が営んでいた商いそのものなのではないだろうか?

このブログで何度か参照してきた、『撰銭とビタ一文の戦国史 (中世から近世へ)』(高木 久史 (著))に説明されているが、実は現在の政府・中央銀行が貨幣を発行し流通量を管理する、という世界は歴史的には「新しい」概念で、昔から貨幣というのは民間で作られて事実上それがデファクト化し、政府がそれを追認してきた、という歴史がある。

戦場で兵士間の価値交換のやり取りに「タバコ」が利用されるように、貨幣は合意形成さえされれば、一般的な「通貨」である必要すらない。

中世の日本でも絹などの布やコメが貨幣として流通されてきたし、戦国時代も中国(宋や明)の銭が流通し、ビタ銭と言われる勝手に鋳造された銭も出回っていた。
海外とのやり取りでは、明が公定の貨幣とする銀を基軸として、そういった様々な貨幣が、その時々の交換比率(レート)で交換されてきた。国内から武具類や銅、硫黄などを渡す代わりに中国から銭を輸入する、という流れもあったので、銭だろうが武具だろうが、それは商品でも貨幣でもあった。

ブレトンウッズ~ブレトンウッズ2体制では、各国政府の責任で発行され国際金融秩序の下に管理されてきた通貨(主にドル)や容易に交換可能な有価証券だけが貨幣として信頼されたが、ブレトンウッズ3体制では、貨幣の種類が膨れ上がり、それらの交換を担う両替商的役割がクローズアップされてくるだろう。

今の金融ビジネスやその周辺領域では、銀行が通貨を、証券会社が有価証券を、商品先物業者が商品デリバティブを、貴金属業者が金地金を取り扱う、といったように一見バラバラに見えるが、ざっくりくくると同じもの(貨幣やそれに準ずるもの)を取り扱っているように感じてきた。
狭い範囲をより狭くジャンル化して役割分担してきた、と言えるかもしれない。

でも、
・ここ数10年はセキュリタイゼーション(証券化)の流れの下、土地やローンなど有価証券や派生商品の原資産の領域は広がってきた。
・ビットコインなどパブリック・ブロックチェーンで流通する仮想通貨といった新しい貨幣も登場し、様々なコインがグローバルに交換されている。
・デジタル資産(有価証券の範疇のデジタル証券も、NFTのように範疇外のものも)はこれから本格的に発行されてくる。PTSや既存の証券取引所の発展でグローバルな流通市場にも発展していく可能性が見えている
こういう動きが進んでいた中で、今回のロシア制裁を契機にブレトンウッズ3体制に変わる先に、より広い世界が金融ビジネスの取り扱う領域になってくるのではないだろうか。
このブログで繰り返し述べているとおり、一方でデジタル化によって個人データ収集・利用も金融ビジネスと一体化するため、この広い範囲のビジネスを「金融ビジネス」と呼ぶかはさておき、となるが、今は「金融ビジネス」そのものが「中世の両替商」のように幅広い価値交換を行う大きなビジネスに切り替わる過渡期であり、その転機をもうすぐ迎える、ということかもしれない。

さて、このブログで何度か書いてきた『天下の秤』という物語の構想。
日本の戦国時代をグローバルな視点で見たとき、「後期倭寇」という東アジアのグローバル勢力は、ポルトガル・スペイン(のちにオランダ、イギリスなど)といったヨーロッパの勢力に伍して(金を価値の中心としたユダヤ金融資本でなく)「銀の経済圏」をグローバルに打ち立てる可能性が有った時代だった、と思う。

自分の中で物語の構想化自体が、今、全く進んでいないのだが、もう3年も前に書いた企画書ではこう書いた。

『天下の秤』とは
・排他的グローバルネットワークによる「情報」を権力者の射幸心をあおったり人民の不満をあおる方向などに活用し、“負けないゲーム”ができる
・世界一の経済大国・明の公定通貨「銀」を安価で仕入れ高値で供給し、“負けないゲーム”ができる
・茶の湯を基軸とした「嗜好品」の販売で、“負けないゲーム”ができる
・・・「これら“負けないゲーム”を(明と日本を中心に)東アジアにおいて確立し運営し続ける××一族と▲▲(の後継者)を頂点とする倭寇グループのことを、『天下の秤』と呼ぶ。
世界の基軸通貨と市場に流通する商品の価値を計り、一族の独占的な繁栄を図り、自らの商売のため情報を駆使して政治と治安の混乱を謀る。それが『天下の秤』である。」

もし、ポズサー氏らの予測が当たり、ブレトンウッズ3体制が定着する頃には「今と戦国時代のグローバル経済の相似形」が実感として認識されるかもしれない。
ずっとさぼっている、物語の構想化、ちゃんと進めたいな。
このままでは「言いっぱなしジャーマン」「言うだけ番長」で終わってしまいそうで、まずいです。

なお、『天下の秤』を進めることができてもできなくても、一方で「新しい金融」をチャレンジする流れの中に身を置いて、同世代の金融マンなどとともに新しい金融ビジネス像を探っていくことは志向していきたいと思っている。
というのも、彼ら後期倭寇や戦国時代の商人たちは、「国」という枠を超えて考え、活動していたから。
先に「アメリカべったりの日本政府の低落が怖い」と書いた。国に頼れない時代がやってくるとして、その時に頼れるのは、自分(やその仲間)の先見性と行動力だと思う。
国が没落するからといって、自分もそうなる、と思いふさいでしまうのは、それは違う。国よりももっと大きな視点を持ち“前を向いて”進んでいく・・・実際に自分自身がそんな大それた立場で生きられるかは別として、その気概くらいは持っていたい。

メタバース社会でこそスラマット(徳の経済)は生きるはずだ!

●AR・VR特許の競争力、Microsoft先行 メタバースの要に(日経 2022年3月7日 2:00)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC166CE0W2A210C2000000/

先日、「コール・オブ・デューティ」や「ウォークラフト」など人気ゲームを手がける米ゲーム会社アクティビジョン・ブリザードを7兆8000億円で買収したマイクロソフトがメタバースに通じるAR・VR系の特許獲得数で世界トップを走っている、という記事。日経新聞社とパテント・リザルト社の共同調査より。
メタバースに賭けフェイスブックから社名変更したメタはと言えば、グーグルとほぼ同数で6位。
そしてなんと、日本が世界に誇る我らが(?)ソニーが、彼らを上回り第3位だという。ソニーは先日、ホンダとタッグを組んで自動運転の世界でも存在感を示しつつある。
2位は米マジックリープで、同社はNTTドコモやグーグルから出資を受けているそうだ。

ゲーム大国の中国企業が見当たらないのが不思議だが(記事内に特記なし)、いずれにせよ、今後10年ほどの間に、世界中でインターネット上に多数の生活・社会空間が、仮想空間メタバースを通して構築されてくる。

映画『マトリックス』が描いた社会基盤ができるのかと思うと恐ろしくもあるが(同作品では仮想現実空間で生きられる代償に、支配者AIに電力供給する器官として人類が存在する)、仮想現実に生きることで充実感や自己肯定感を持つ人たちは多いだろう。自分もその予備軍なのかもしれない(お気楽な異世界転生ストーリーも好きだし、現実はつらいしなぁ)。

手つかずの新大陸がボコッボコッと現れるわけで、そこでは様々なビジネス、経済面での期待も寄せられている。
NFT(Non-Fungible Token)やメタバース内で取引される貨幣、メタバース内の不動産などを利用した投資や利殖、といったものに期待する人も多く、すでに「サンドボックス」(使用通貨SAND)など、投機的に人気化しているものもある。

●メタバースの扉は開いた 起業家や識者に聞く フィリップ・ローズデール氏/中村裕彦氏/増田雅史氏 時論・創論・複眼(日経 2022年3月7日 2:00)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD25A190V20C22A2000000/

こういったまだ未成熟なメタバースという存在に対し、識者が様々な意見を述べている。各々が持つメタバース像がバラバラなため各人の論点は統一されていないし(それだけ、幅広い発展可能性が有るということだ)、特に目新しい内容ではないが、納得するところがある。

「監視されたり情報操作されて、分断の場になるべきではない」と倫理的な主張をするのはフィリップ・ローズデール氏。
この記事のまとめ(アンカー)でも、「倫理と収益を両立できる仮想社会運営のモデルも見えない」が、それゆえに日本企業にも世界的プラットフォームを築ける可能性が残っている、と結んでいる。

そこで、このブログ記事の表題「メタバース社会でこそスラマット(徳の経済)は生きるはずだ!」の主張(我田引水)である。

自分が長らく実現を目指し、いったん諦めてしまった「スラマット(Selamat!)」や通底するアドコマース・徳の経済という概念こそ、新たなメタバース社会で花開くものではないだろうか。
(過去の経緯については、2021年8月25日『NFTをきっかけに、これまでと未来を考える』を参照)

様々なメタバース内で、取引される「商品」がある。これは、サンドボックスの土地や戦闘ゲームでの武器等のアイテムなど、様々、無限にあるだろう。ゲーム内でのプレイヤーの実演も商品になるなら、そういったサービス業的な商品もありだ。
その個々の商品を「広告媒体」として認識し、個人法人問わず「広告」(=「応援」)を求める。
スラマットで元々考えていたのは、「広告媒体」と「応援」を仲介し、かつ応援の結果、商品の単価が下がるよう連動させること。そして、応援者間の(RTBの)競争、応援者の実績が広く開示されること。
それにより、
「自分(購入者)が誰のおかげでこの商品を安く買えたか」
「応援者がどういう応援を継続しているか」
を衆人が認識でき、広告や自己PRの場として活用できる。

その後、「閉じた世界(一つのプラットフォーム)ではうまく行かない」と気づき、こういった「応援」を様々なプラットフォーム間で紐づけできるべきだ、と発想。
暗号資産のように投資して得るのではなく、また、一つのプラットフォームで利用する通貨ではなく、あくまでも、応援の実績として「ご褒美」がもらえる(徳のトークン『TOKU』)という仕組みだ。

広告代理店的なリソースだったり、応援を商品価格に反映させるシステムだったり、あらゆるものがない中で絵空事だけを唱えても、実現には程遠いチャレンジではあった。それでも様々な先に語る中で、スラマットが目指す「理念」だけでも広めて、巻き込めないか、と考え動いていた。

現状、依然としてまったく同じ状況なのだが、それでも、このスラマットのサービスは、複数のメタバース社会を繋ぐ(プラットフォームを超えた)、世界的なビジネスに発展できるものだと思う。
上記日経記事が言う「倫理と収益を両立できる仮想社会運営のモデル」として、日本が世界に打ち出すべきものこそがアドコマースであり『徳の経済』なのかもしれない。

正直、現在、NFTやメタバースの世界で起きていることは、結局は現実の資本主義社会の焼き直しで、金を持つ者が正しく、弱者を蹂躙して良い「太客(ふと客)」社会だ。
自分もその資本主義的価値観の中で「暗号資産、儲かるかも」「NFT、儲かるかも」と考えている側面があるので、あまり偉そうには言えないのだが、狂乱するNFTやメタバース内の土地取引を、やや冷めた感情で眺めてしまうことがある。

むしろ、これから勃興する“新しい世界”には“新しい価値観”を植え付けていけないだろうか。
元々、スラマットの取り組みで漠然と思っていたのが、
「資本主義の下、世界は貴族と奴隷と芸術家に集約される」
「でも、皆が芸術家になり『応援』される社会なら、奴隷の数は極小化し幸福な社会ができる」
というものだった。

理想論、と言われるか、あるいは、
「そんな世界が実現できたとして、結局そこでデータを握って稼ぎたいんでしょ?」
と見透かされる(?)かはわからないが、
「メタバース世界にこそ、『徳の経済』が必要だ!」
と、ここに強く記しておきたい。

注)この文章はあくまで意見表明であり、今から自分がすぐ、こういった何らかの事業に取り組もう、ということではないので、悪しからず

考察:水面下で進む金融の仕組みの変化

何となく、ここ数日に読んだ記事には、金融の新しい仕組みや変化について、示唆されるものがあった気がする。
バラバラな内容でまとまらないが、あえて、一つの記事にして、自らの頭の整理としたい。

●特典付きデジタル証券 三菱UFJ信託、個人向け開発(日経 2022年2月21日 18:34)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD210V70R20C22A2000000/

デジタル証券の共通基盤「プログマ」を持つ三菱UFJ信託銀行が、株主優待や会員証など「特典付き」デジタル証券を開発すると発表。魅力的な特典で個人投資家をひきつけ、企業側も資金調達しやすくなる効果を見込んでおり、今後発行企業を募って、年内にも実証実験を始める、ということ。

前回のブログ(2022年2月9日「三菱UFJ信託のプログマコインと『新しい金融』への期待」。特に「追記」)でも書いた通り、デジタル証券は発行企業のマーケティングに有用で、ユーティリティ・トークンやNFTを活用した金銭以外の“サービス”的な還元により、ロイヤルカスタマー獲得につながる、と思っている。つまり、企業のファンマーケティングの観点からコンテンツフィナンスの有用性が増すとも思っている。
前回ブログのみならず、このブログで何回も繰り返し書いていることだ。

この日経記事ではまさに「株主優待のようなサービスの拡大」とあり、これぞ自分がずっと言い続けていることだ。そういうわけで個人的に、プログマの今後の展開には大いに期待している。

この記事では「地方の旅館が改装費用を調達するためにデジタル証券を発行し、投資家は配当収入に加えて、回収後の宿泊券を得られる」といったケースを想定しているが、資金調達と受益者サービスの組み合わせには、もっともっと広がりがあるだろう。

この紹介事例にもある通り、デジタル証券の発行者は、これまでの大企業ならずとも、もっと小規模な事業者もあり得る。
(元証券営業マンの立場から言えば)例えば、地方の旅館などのお客様に資金調達の提案に行けるのは、銀行マンや信金マンぐらいだった(証券系ではせいぜいM&A提案くらい?)。
でも、このデジタル証券発行+ファンマーケティング提案、という“新しい領域”が証券マンに広がるのではないか、と思っている。そして、このブログにずっと書き続けている(例:2021年1月29日「SBI・三井住友FGのPTSと新たなエンタメ金融の考察」。

自分としては、ブログに繰り返し書いてきた通り、この新しい証券+マーケ営業は、大手証券会社の社員ではなく、“個”の力を持つ、独立系(IFA)や組織に属してはいても独自ネットワークを持つ、シニア金融マンに担ってほしいと思っている(例:2021年8月2日「『新しい金融』とシニア金融マン」。

●地銀システムにクラウドの波 コスト圧縮で生き残り 低コスト・軽量へDX 異業種・外資参入で導入相次ぐ(日経 2022年2月21日 20:00)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB17C8M0X10C22A2000000/

こちらは同日の日経記事。
地銀が基幹システムである勘定系システムを、これまでのNTTデータなどベンダーから、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)などのメガクラウドを中心に、クラウド系に移行し、中央集権型から分散型に変化してきている、という記事。
・北陸銀→日本ユニシス→AZURE(マイクロソフト)
・ふくおかFG→アクセンチュア→GCP(グーグル)
・東京きらぼしFG→SBJ銀行・SBJ DNX→?
・北洋銀・東邦銀→日本IBM→?(地銀10行で作る「TSUBASAアライアンス」)
・福島銀→フューチャーアーキテクト→AWS(アマゾン)

以前、ここ(2021年10月27日「金融向けIT規制と日本の金融ムラへの憂慮、強い『個』の連携」)で、金融機関向け行政指導において「そのシステム、ちゃんと運営してね」の矛先がクラウド業者やブロックチェーン業者に向かっており、それはかまわないが、現状の某メガバンクの状態を見ても天に唾する行為(?)では? と皮肉を書いた。
(某銀には自分の知人もいて、顧客からのクレームなどで非常にかわいそうな状況だと聞いている。中央集権型システムはもう、崩壊の途にある気がするのだが・・・。)

金融とは結局はシステムであり、大量のデータを構築し処理するにあたり、いち金融機関(および癒着先のITベンダー)では対処しきれなくなっている、と言えるのかもしれない。
これは金融機関のみならず、全銀ネットや日銀ネットなどの金融インフラについても言えることかもしれない。
にもかかわらず、

●地銀のサイバー攻撃リスク重点調査 金融庁、日銀と連携【イブニングスクープ】(日経 2022年2月22日 18:00)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB212ZE0R20C22A2000000/

この記事内で、「メガバンクに対して地銀はIT投資が遅れており、基幹システムの運用体制や外部のクラウドサービスの管理状況などを調べ、不備が有れば、行政処分も視野に入れる」とある。
地銀の基幹システムがクラウドサービスにシフトしているのを、「IT投資の遅れ」と評するのはいかがなものかな。言いたくないが、官公庁と“なあなあ”なITベンターからの圧を感じる書きぶりだ(個人の感想なので、言い過ぎが有れば、恐縮です)。

金融システムのクラウド化は、特に海外のチャレンジャーバンクなどで進んでおり、フレキシブルなサービス提供もある一方、システムも総じて安定している、という評価だ。
こうして“自国の既存産業優先”の姿勢で臨んでいるように感じられるのは、規制側としてどうかな、と思う。
金融庁や日銀(あるいは記事にある金融情報システムセンター(FISC))が監督者として銀行のサイバー攻撃リスクに備えるのは必要なことなので、それ自体には何も言うことはないし、地銀もクラウド業者やシステム開発業者に任せきりではなく、実態をきちんと管理すべきだとは思うので、記事にある重点調査自体に異論があるわけではないので、悪しからず。

●JPX、清田体制8年目へ 宮原元東証社長が執行役に復帰(日経 2022年2月22日 19:03)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB221LO0S2A220C2000000/

こちらは、日本取引所グループ(JPX)の新経営体制の記事。
「就任から8年目となる清田瞭・最高経営責任者(CEO、76)ら首脳陣は続投し、東京証券取引所の再編など重要案件に万全の布陣で臨む。4月にはデジタル事業を統括する中核子会社を新設。20年のシステム障害で引責辞任した東証社長を呼び戻し、取引の多寡に依存しない新たな収益モデルを模索する。」

2020年10月の東証アローネットのシステム障害・取引中断は、国内外で日本のシステム、社会基盤への信頼を少なからず棄損した事件だった。
その時の東証社長が4月新設のJPX総研の社長としてカムバックするそうだ。ネガティブにとらえる人もいるだろうが、自分は、この人はそれだけ優秀な人なのだろうな、と思う(実際には知らないが)。

このJPX総研では指数算出やデータ算出のデジタル事業を集約し収益源を拡げる期待があるとともに、デジタル証券や暗号資産の取り扱いをなど、新領域を探る役割も担う、という。
今後、デジタル証券が主流になれば、今の東証には“価値がなくなる”未来もあり得る。冒頭の日経記事の三菱UFJ信託のプログマを要するODX(大阪デジタルエクスチェンジ)などの頑張りで、投資家が「証券はすべてデジタルでいいじゃん」となるかもしれない(個人的には、当然、両社の領域は棲み分けがなされるとは思っているが)
なんとなく・・・今の国際金融ハブ競争の中で危機感を感じられないJPXだが(これも、あくまで個人の意見です)、普通にやっていたら生き残れない、という危機感をもって、このJPX総研主導での取引所改革に挑んでいただきたい。

ところで、東証は複数のメガクラウド上にバックアップシステムを持っていると聞く(メインのシステムも有るかは不明)。
前の記事に戻るが、だから、地銀がクラウドサービスを選択したことを「IT投資の遅れ」と称して金融庁や日銀がネガティブに言うのは自己矛盾が有る、と思う。
むしろ、以下はいずれも少し前の記事だが、

●グーグルがCMEに10億ドル出資、取引システムのクラウド化で提携(REUTERS 2021年11月5日7:46 午前)
https://jp.reuters.com/article/cme-investment-google-idJPKBN2HP2T4

●AWS、米証券取引所ナスダックのクラウド全面移行支援(日経 2021年12月1日 7:28)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0102Z0R01C21A2000000/

世界最大の取引所グループのCMEは、グーグルの出資を受け、システムインフラをGCP(グーグル・クラウド・プラットフォーム)に移行しているし、競合相手のNASDAQのシステムも、もはやAWSのものだ。
もっと言えば、日本のデジタル庁自体がAWSとGCPを選択したわけで、そんな先を選んだ地銀を指して「IT投資の遅れ」などよく言えたな、と思うが、まあ、あんまり言うと何なので、この辺で。

いずれにせよ、世界中の証券取引所の裏側は「データ企業」を親会社に持つメガクラウドが担っている、という現実は、もはや世界の金融ハブが物理的にどこにある、ということ以前に大きなことかもしれない。
以前ここ(2020年10月13日「SBIの大阪金融都市構想とぐるぐる」)に書いたように、ロンドン取引所はリフィニティブを買収して、取引の土台を担うというよりは、そこで生じるデータ活用で生きようとしている。
このリフィニティブもAWSかGCPを活用していたはずだ(ググっても詳細は見つからなかったので、あくまで、“はず”で。なお、参照したブログ記事を書いた時点ではリフィニティブについてほぼ知識ゼロだったので、ちょっと恥ずかしかったりする)。

これまですっかり、日本のIT企業(というか、ゼネコン営業型のITベンダー)“下げ”、メガクラウド要するGAFA(のうちGA)“上げ”をしてしまったが、さりながら、自分にしても「日本の金融インフラを日本のシステム会社が担わなくて、ほんとに大丈夫なの?」という気がしないでもない。
もちろん、AWSもGCPも(AZUREも)あくまでデータセンターとそれに付随するシステム構築サービスであって、システム保守は担うけれど、データそのものの取得にはあずからない、という区分けのはずだ。「アマゾン本体とAWS、グーグルとGCPのデータ共有はなく、しっかり区分されている」というのが大前提のはずだ。
実態がどうなのかは部外者からは見えないので、つい素人目戦で、「重要なデータの基盤が軒並みGAFAに抑えられてしまって大丈夫なのかな?」と感じてしまうのは、何卒ご容赦いただきたい。

たとえば・・・以下は、あくまで“頭の体操”レベルの限りなく妄想じみた話なのだが、

●Inside Out 医療データ開国迫る巨大IT 健康管理や創薬に変革の波(日経 2022年2月20日 5:30)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC082GN0Y2A200C2000000/

このInside Outの記事では、アマゾン(AWS)やグーグルは医療機器経由や電子カルテなどの医療データを集めてAI活用で創薬などに役立てている、と説明されている。
日本は個人情報保護ルールの社会的合意形成に始まり、何もかもアメリカの周回遅れで、「産業競争力の源になる医療データを軒並み海外勢に占有される懸念もある」という書きぶりだ。

自分は、(これが“妄想”なのだが)金融ビジネスの中で「保険」は、今の金融の範疇を離れて、データを集約しシミュレーションを提供するIT企業の専任事業になっていく可能性が有ると思っている。例えば、医療関連データを駆使して各種保険関連シミュレーションを行う主体は、保険会社ではなく、データを集めて活用する側、つまりGAFA、という予測だ。
ニッセイもSompoもGAFAなどに駆逐されるかもしれない(もっとも、“お上”が保険業認可のルールにハードルを設けて、日本の保険会社が下請け的に残る道もあるかもしれないが)。

そういう意味で、(話を、銀行や取引所に戻すと)地銀やJPXに限らず、CME、NASDAQなど世界の取引所も、これから先どういう形で生き残っていくのか、変化していくのか。
国際金融体制を護持するサイドに立つと、銀行の機能も保険の機能も、GAFAにとってかわられる、という焦りが有るのかもしれない。
・・・ちょっと、表層的な事実を捉えてふくらまし過ぎかな(自己反省)?

冒頭に書いた通り、
「何となく、ここ数日の記事には示唆されるものがあった気がするので、あえて一つの記事にして、自らの頭の整理としたい。」
という思いで書いてみたが、まとまらないまま終わってしまい、反省。

ただ、そこに通底する「時代の変化」を予見させる“感じ”が、読者の方に伝わればありがたい。

三菱UFJ信託のプログマコインと「新しい金融」への期待

さっきアップしたブログ(『このブログのテーマにある一貫性』)のとおり、「新しい金融」の観点で気になった記事を。

●三菱UFJ信託、デジタル証券を即時決済 独自に電子通貨【イブニングスクープ】(日経 2022年2月7日 18:05)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD26EAK0W2A120C2000000/

記事曰く、
「三菱UFJ信託銀行は商業不動産などを小口売買できるデジタル証券の普及に向け、即時決済できるデジタル通貨を発行する。証券をデジタル化すれば取引は即時に完了するが、現行制度上は資金決済まで2日ほどかかる。デジタル通貨で決済のスピードも速めて利便性を一段と高める。SBIホールディングスや三井住友フィナンシャルグループが2023年に始めるデジタル証券の取引市場でも使われる見通しだ。」
とのこと。

三菱UFJ信託はデジタル証券の「発行」「流通」「決済」の中で、決済(権利移転)を担う中立的プラットフォームとして「Prog///at(プログマ)」というシステム・サービスを始めている。
プログマは、デジタル証券の流通を担うSBIホールディングスや三井住友フィナンシャルグループの私設取引所(PTS)である大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)との連携も進んでいて(2021年10月20日『大阪金融都市構想-新PTSの続報と「新しい金融」』)、デジタル証券における「ほふり」(証券保管振替機構)の役割を担うことになる。

日経記事にあるとおり、円連動のステープルコインの「プログマコイン」を介しての決済については、「T+0」つまり決済リスクがゼロになる同日(即時)受け渡しが可能になる。
(証券決済では約定日から受渡日の日数により、“T+〇(日)”という言い方をする)
記事に「通常の取引は証券の引き渡しや資金決済に2日ほどかかっていた。」とあるが、確かに、自分が山一に入った頃はまだ日本株の受け渡しは「T+4」だった。今は「T+2」。それだけでも隔世の感がある。

ところで、日本株の決済が「T+2」なのって、どんな根拠があるんだろうか?

これまで、長きにわたる各方面の調整を伴う証券決済制度改革を経て、日本株や債券は「DVP決済」という状況を実現している。
DVPとは「Delivery Versus Payment」の略で、証券の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)を相互に条件を付け、一方が行われない限り他方も行われないようにし、資金/証券を渡したにもかかわらず取引相手からその対価となる証券/資金を受け取れない「取りはぐれ」リスクを回避するための仕組みのこと。
資金については日銀ネットの当預系、証券については日本証券クリアリング機構といった証券系の処理を、相互連動することで実現した。
とはいえ、自分はこの辺、あまり詳しくないため、あくまでネット記事などからの参照情報ゆえ、あしからず。

(参考)日本取引所グループ(JPX)資料より
https://www.jpx.co.jp/learning/education/school/materials/tvdivq00000039zc-att/p.20-31.pdf
こちらは日本株の東証での株式取引に際する決済についてまとめてある資料。
証券会社は同社で発生した同じ決済日・同じ銘柄の株式の売買を相殺し、株式の決済をJPXグループの(株)日本証券クリアリング機構(JSCC)を通して行う(売買が成立した証券会社同士ではない)。同時にすべての銘柄の差金決済をJSCCとの間で行う、と説明されている。
証券会社間の株式の移動は、JSCC(株)の指図に基づいて(株)証券保管振替機構(ほふり)において管理される。
ほふりでは証券会社経由で株主情報を管理しており、発行体が作る株主名簿更新のために、基準日時点の株主情報を発行体に知らせている。

で、結局、株式の証券決済が「T+2」である根拠は、「?」。よくわからない。
おそらく、DVP決済の仕組み上、どうしてもこれだけの日数がかかってしまう、ということなのだろう。
法的に決められているわけではないと思われるし、もし何がしかの規定があったとしても、それは物理的制約に起因するルールなのだと思われる・・・あくまで個人の解釈だが。
つまり、「日銀ネット」「JSCC」「ほふり」(それ以外にも?)というDVP参加者の連携の現時点での限界が「T+2」なのだと思う。

一方、ブロックチェーンを活用したデジタル証券(セキュリティ・トークン)の場合、理論的には、誰が誰に売買して今誰が持っているか、をほぼ即時に把握できる。はずだ。
この証券決済と、同じくブロックチェーンで流通管理される暗号資産(≒電子通貨)での決済であれば、両者は連動し、証券決済も資金決済も即時に行える。はず。
法定通貨連動のステープルコインなら、後々(暗号資産取引所を介して?)法定通貨に(ほぼ)無リスクで交換できる。
というのが、今回の三菱UFJ信託の「プログマコイン」の意義なのだろうし、そういう意味では、このプログマコインの存在意義はODXにおけるデジタル証券市場の活性化にかかっている、ということでもあろう。
(なお、プログマはODX専属というわけでもないと思われるので、あくまでこの説明は便宜上のものである)

では、たとえば現在、日銀が“検討”を重ねているというCBDC(中央銀行デジタル通貨)を活用すれば、やはりブロックチェーン土台の通貨でもあり、日銀ネット上での問題が解消する、などということはないのだろうか。

●財務省、デジタル通貨対応で体制拡充へ(日経 2022年2月6日 20:09)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA28BE70Y2A120C2000000/

この記事は、やはり最近読んだもので、大蔵省がCBDC導入に向け、7月に体制強化をするよ、という内容。
通貨発行を担う理財局国庫課の専従は現在2名しかおらず、7月に2名増員する予定だとのこと。正直、えっ、そんなに少ないの? と思ってしまった。
もし日本にCBDCを実現させようとした場合、財務省所管の通貨法の改正などが必要となるようだ。法律に盛り込む内容も、仲介機関の選定や手数料、限度額、個人情報の扱いなど、多岐にわたる。記事によれば、大蔵省は金融庁とともに制度設計を検討していく、とある。

議論を主導する日銀は、21年4月から実証実験はじめ、第2段階となる22年4月からは、現金との交換や決済システムとの連携を確かめる、という予定になっている。とのこと。
実態は知らないが、大蔵省と日銀は“不倶戴天の敵”(?)のごとく仲が悪いそうで、この記事には、そんな確執が垣間見える気がする(これもあくまで、個人の感想なので悪しからず)。

そういうわけで、CBDCの実現自体に、まだまだハードルがある状況に思われる。
日本では23年に本格稼働すると思われるデジタル証券市場(ODX)が「T+0」も一つの“売り”として存在感を示していくことを期待する。
いずれ投資家層がデジタル証券投資に慣れた場合、「どうして株や債券は2日もかかるの?」「いっそのこと、全部デジタル証券に切り替えてくれない?」なんてことにもなるかもしれない(危うし!東証、JSCC、ほふり!!)。

さて、先述の直近ブログ(『このブログのテーマにある一貫性』)のとおり、自分はこういったデジタル証券にはコンテンツを軸にしたファイナンスニーズ及びマーケティングとの親和性が有ると感じている。
(これまでも、2021年1月29日『SBI・三井住友FGのPTSと新たなエンタメ金融の考察』他、このブログで言及し続けている)

三菱UFJ信託のプログマでは、プログマコインを介してデジタル特典・会員権的な扱いの「ユーティリティ・トークン」(参照-昔書いた記事:2018年11月20日『まちがってる!(セナーと金商法についての報道) その1』~その5  、2021年8月25日『NFTをきっかけに、これまでと未来を考える』ほか)との互換性をうたっており、ファンマーケティングへの援用という発展が期待されている。
セキュリティ・トークンを発行する企業など発行体のファイナンスの際、ユーティリティ・トークンの活用も介した相乗効果を見込み、マーケティングの土台になるかもしれない。
そういう観点からも、自分は注視している。

彼らが言う会員権的なユーティリティ・トークンと、現在流行の「NFT(Non-fungible Token)」との棲み分けや、各々の法的位置づけの整理など、諸々課題はあろう。
それでも、「金融側のプレイヤー」が担う役割に(前述ブログのとおり)、
「こうやって御社のファンを取り込んでいきましょう」
が含まれる方向性、チャンスに期待したていたい。
このODX-プログマの活用がその土台になるかもしれない。

 

(2022/2/9追記)肝心なことを書き忘れたので追記します。

自分は、このデジタル証券(およびユーティリティ・トークン?NFT?)を利用したマーケティング活用に欠かせない機能が、デジタル証券の発行企業に株主(投資家)を通知する機能だと思っている。
つまり、株で言う「基準日」段階の株主を知らせる「ほふり」の役割だ。
株の場合、基準日付で把握された株主に「配当」を交付するわけだが、もう一つ「株主優待」というのが投資家にとっての魅力だ。

前述のとおり、デジタル資産の場合、理論上は“いつでも”株主(投資家)を把握することができるわけで、株主優待的なサービスを“決算時に限らず”実施できることになる。

そもそも、企業を意表する株式と違い、デジタル証券なら様々な対象を裏付けにした証券が発行できる。例えば、(発行企業の資産である)コンテンツが対象となったデジタル証券、というのもあり得る。
収益配当に際し、金銭以外の“サービス”的な還元方法も考えうる。
(それこそ、デジタルベースの「ユーティリティ・トークン」「NFT」などは親和性が高い)

つまり、企業にとってこれまで株主優待くらいしかなかった投資家(≒企業にとってのロイヤルカスタマー)向けのサービス提供が、デジタル資産やNFTなどを活用することで幅広くできるような世界が広がる、というわけだ。

そういう意味で、今後、企業にとって、自社が持つ「コンテンツ」の価値が格段に上がってくるものと思われる。
「うちには、そんないいコンテンツがないなあ」という企業であっても、「だったら、他所からコンテンツを獲得しよう」という動きが起こる可能性もある。

そういうわけで、企業ファイナンスを担う法人部門、あるいは企業オーナーの資産運用を担う富裕層投資サービス担当者は、
「こうやって御社のファンを取り込んでいきましょう」
という選択肢の中に、「コンテンツ戦略」が含まれてくる可能性が有る。

というか、自分はそういう流れを、とてもとても、期待している。そういうわけで、プログマには今後とも関心を寄せていたい。

このブログのテーマにある一貫性

自分はこれまで「エンタメとファイナンスをグローバルにつなぐことができるクリエイティブ人材」を目標にしている。
このブログは書き始めた2018年4月以来、自分が読んだ新聞記事やネット記事を起点によしなしごとを書き綴っているのだが、その内容は自然と、この目標に沿ったものになっていたように思う。
これは、自分が長く携わった「金融」の範疇が、ここへきて“デジタル化”“グローバル化”で大きく様変わりしようとしていることと無縁ではない気がする。

「金融」側が「IT」勢力の力を借りて、あるいは「IT」勢力に侵食されながら歩んでいく「新しい金融」の世界。
自分は元々、金融の新しいジャンルとしてエンタメファイナンスを志していたわけだが、「エンタメ」がかかわる範疇も、エンタメ→(デジタル)マーケティング→(個人)データの取り扱い、といった連鎖があり、(単にエンタメのみならず)金融・エンタメの両者が一致する大きなエリアが生まれる『未来図』が見えてきている気がしている。
それは、企業のファイナンスとマーケティングが一体化する領域であり、そこに「デジタル証券」やコンテンツを軸にした企業のブランディング戦略、といったものが絡んでくるのだろう。
未来では、例えば中堅企業オーナーなどに対峙する法人部門や富裕層営業に携わる金融マンは、社長に対し、
「こうやって資金調達しましょう」
「これが儲かりますよ」
だけでなく、
「こうやって御社のファンを取り込んでいきましょう」
という類のアドバイスが必要になってくる気がしている。

そういうわけで、新聞記事などのニュースに触れる際の自分の興味の対象はバラバラなようで一貫性が有り、そのフィルターを経たこのブログのテーマには以下のようなものが多かったように思う。
・デジタル決済・デジタル資産など「新しい金融」
・コンテンツのマーケティング活用
・個人データのマーケティング活用

2022年、金融ビジネスの環境は大きく変わっていきそうに思う。自分の予測する方向に進んでいくか、楽しみでもあり、不安でもある。
(上記テーマに限定するつもりはないが)これからも時間が許す限り、“よしなしごと”を書き綴っていこうと思う。